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私の制作のゲームではAI絵を使用していません - AI絵に関しての話

概要

novelgame.jp

先に断っておくと、「NARCIST COMPLEX はAI絵を使用しているのではないか」という問い合わせがあったり、疑惑をかけられたわけではありません。

ただ、初のゲーム制作で私はエゴサをよくしているのですが、「ここ最近公開されたゲームがAIを使用している気がする」といった話題をよくみかけます。
プレイしていただく皆様には安心しプレイしていただきたいので、できる限りの説明をしようと筆をとりました。

※ 念の為申し上げておくと、そのAI疑惑のあるゲームがどのゲームのことなのか、個人的に予想はついています。
 その疑惑が実際正しいのかどうかは、私の知るところではないので触れません。


あまり詳しく語るとネタバレになりかねないので、この記事では未プレイの方が読むことを想定し、プレイ前に読んでもゲームの面白さを損なわないであろう範囲で記載しています。


そもそもAI絵かどうかなんて疑っていないという方は、最後の『個人的な話』だけ目を通していただけると幸いです。

結論

「NARCIST COMPLEX」において、AI絵を使用していません。


制作工程について

はじめに

元も子もないことを言ってしまうのですが、自分の絵がAI絵ではないことを100%立証するのは不可能です。
ですが、AI絵に関して不安を抱いている方が少しでも心を楽にすることができればと思い、できることをします。

最も確実な立証法はタイムラプスの提出だと思いますが、タイムラプスは非常に重いので厳しいものです。
(タイムラプスを含むファイルは余裕で1G以上あります。なんとゲームより重いんです)

レイヤーファイルの提出(cliやpsd)のファイルもAI絵疑惑対策には有効ですが、
差分が大事なゲームにおいて、レイヤーファイルの提出は避けたいです。

前述した通り、私は現時点で問い合わせがあったり疑惑をかけられたわけではないので、トラブル防止のため、レイヤーファイルの提出は避けます。
レイヤーファイル自体は長期保管しておきますので、機会があれば公開します。

したがって、今回は公開できる範囲でラフ絵をお見せできればと思います。



立ち絵に関して

「NARCIST COMPLEX」に登場する立ち絵( ※シルエット立ち絵を除く )は、すべてMiz Gracia が自作しています。

CLIP STUDIO というペイントツールを用いて、iPad にて描いています。
※ ここには clip assets での配布ブラシが含まれます。
※ 手は一部、トレス可素材を用いています。


以下は、登場キャラクター「夜巳涼人」「緑島遥」のラフ案です。
公開することを想定して描いていないので、見づらい点についてはご容赦ください。
緑島遥(右)の靴は3D素材を線画に起こしたものです。


各キャラを清書したのち、他の立ち絵と比較し、再調整をしています。
目の色を変更したり、頭身を調整したりしています。
腰から下も描いているのですが、ゲームでは使用していません。
余談ですが、緑島遥(画面左から二番目)のキャラの左手がストール越しに透けて見えるのが個人的お気に入りポイントだったのですが、作中では全然見えなかったです。



絵柄は意図的に変えています。変えているつもりです。
少しだけキャラデザの話をしておきます

  • 夜巳涼人(画面一番左)
    • テーマは夏・夜・青。かと言って熱血漢という感じではなく、暑さを感じさせない涼しい男を表現しています。
    • 当ゲームにおけるメインビジュアルを担当して欲しかった(ポケモンでいうところの赤版のリザードンみたいな)ので、ナルシスト感が一番伝わりやすい雰囲気を意識しています。
    • デザインの雰囲気的に、昔ながらの乙女ゲームっぽい造形、いわゆる平成っぽさを意識しています。(後述する北颪彪との対比)
    • 普段の絵柄そのもので描いているので、非常に描きやすいです。
  • 緑島遥(画面左から二番目)
    • テーマは春・昼・緑。また、作中では重要な隠し要素を持つキャラクターなので、優しい雰囲気ながら"男"の造形を意識しています。
    • レイヤー数最多勝
    • キャラデザに関して語り出すとネタバレになりかねないキャラです。プレイしていただけると、色々とわかってくるキャラだと思います。
  • 北颪彪(画面右から二番目)
    • テーマは冬・早朝・黄。夜巳涼人との対称性を意識しています。
    • どちらかというと最近の乙女ゲームVTuberに多いようなデザインを意識しています。目元にバチっと橙を差し込んだり、顔にハイライトを入れたり
    • 肌の色も少し変えています。冬っぽさのために、ちょっと血色を悪い感じに。ただ、やりすぎてゲーム内での映えが悪かったので、もう一段階調整しました。なのでゲーム内ではわかりにくいかも。
    • 普段の絵柄からはちょっとズレるので、描いていて大変でした。
  • 日落晃(画面一番右)
    • テーマは秋、夕方、赤。
    • 作中で最も年下のキャラであり、幼さが重要なキャラなので、一般誌の主人公感を意識しています。特に目。
    • ただ、王道バトル漫画主人公みたいな熱血くんではなく、秋の夕暮れのようなちょっとした格好よさを感じて欲しいので、髪のハイライトには青を混ぜています。
    • 髪型については作中にて語られています。頻繁に結んでいるので癖っ毛。
    • 普段の絵柄からはちょっとズレるので、描いていて大変でした。

ヒロイン、志貴しずくのラフは消してしまったのですが、このゲームのコードを格納しているGitHubに、動作確認に使ったときのラフ画が残っていたのでそれをお見せします。
ハイライトに、全キャラのテーマカラーをちょっとずつ入れています。

また、志貴しずくも全身を描いています。
いつも男性を描くので女性を描くことに苦手意識があったのですが、めっちゃいい感じに描けて嬉しいです。
※ 以下の差分は作中では登場しません。今回用に出力しました。



ヒロインの親友、乙木蜜柑についても同様です。
ただ、彼女は足や靴が上手く描けなかったので、将来的に全身が必要な場合にはもう少し加筆します。
足指って難しい。
身長は北颪彪と同じかやや低めの想定なのですが、ヒールを履いているため、並んでいるシーンでは乙木蜜柑の方が頭位置が高くなります。
※ 以下の差分は作中では登場しません。今回用に出力しました。

キャラデザに関するより詳しい話は、いつかまた書けたらいいなぁと思います。


背景に関して

背景は、自作しているものと、素材をお借りしたものがあります。

■ CREDIT(敬称略)
【背景】
・みんちりえ( https://min-chi.material.jp/
&みんちりのfanbox( https://min-chi.fanbox.cc/
・背景素材屋みにくる ( https://quunplant.booth.pm/ )

そのひとつひとつ、すべてに対してAI絵ではないかどうかのチェックを行ったわけではありませんが、
みんちり 様はタイムラプスを公開しており、みにくる 様も非常にレベルの高い背景を提供してくださっており、AI特有の矛盾点も見当たらなかったため、MizGraciaは「これらにAI絵は使われていない」と判断して使用しています。

万が一、お借りした素材の中にAI絵があると確定した場合には、その旨表記するか、背景を差し替えるなどの対応をいたします。

また、いくつか自作した背景も存在しますが、その背景はどれも公開するだけでネタバレに繋がるものなので、どれのことかはここで明示できません。
しかし、どれも非常に抽象的なものなので、AI疑惑はそもそもかかりようがないんじゃないかと思っています。
例えば、以下のようなものです。

また、作中でカメラが登場するシーンがあるのですが、あのシーンの背景は私が実際に撮った写真の加工です。

スチル

立ち絵を制作し、背景素材を揃えた後に制作しています。

ほとんどのスチルにおいて、上記の背景素材を加工して使用しています。
※ すべて加工利用可であることを確認の上で使用しています。

ゲーム紹介で使われている、このスチルに関しては背景も自作です。

スチルは何もかもがネタバレなので公開できませんが、前述した立ち絵の件と照らし合わせて考えていただければ、「スチルだけAIで出力するというのはもはや自分で描くより難しい」とご理解いただけると思います。
機会があれば、ラフを公開します。


シルエット立ち絵

【シルエット素材】
びたちー素材館 ( http://www.vita-chi.net/sozai1.htm )

AI絵が話題になるより前に公開されている素材です。そのため、AI素材ではないと判断しています。

一部、自作しているシルエット立ち絵もあるのですが、CLIP STUDIOにある3D全身素材に上から服と髪だけを乗せて黒で塗りつぶすような、非常に簡単な方法で制作しています。


ロゴやゲーム内パーツ

さすがに疑惑のもたれようもないと思うので省略します。


個人的な話

MizGracia という人間は、都内在住のフロントエンドエンジニアです。
子供の頃からADVゲームが大好きで、いつか自分でもゲームを作ってみたいというふんわりとした願望がありました。
しかし、自分が満足できるような絵が描けず、とりあえずオリジナル小説を書いて投稿してみたり、出版社の大賞に応募してみたりと、そんな日々を送っていました。

しかし、忘れもしない2021年の4月。ある方のVTuberファンアートをきっかけに、「この人の絵が好きってこの人に言いたい」という目標を掲げ、多くの時間とお金を描けてイラストを学習し始めました。
その夢は本当の意味で未だ叶っていないのですが、この情熱のおかげで、イラストの腕を劇的に上げることができました。
一人の力で成し遂げられたわけではなく、YouTubeにある数多くの動画や、通信講座のPalmieの先生、応援してくださる方々、魅力的なVTuberの方々のおかげでここまで来れたのだと感じています。

せっかく『NARCIST COMPLEX』という作品を発表したので謙遜なく言いますが、私は、自分の絵に対してはかなりナルシストです。大好きです。
それでいて「もっと上手くなりたい」と願い続ける、そういう生き物です。

一方で、AI技術に対して否定的かというとそうでもなく、エンジニアの端くれとして技術の進歩にはワクワクしています。
しかし、AI問題というのは私のようなひよっこが軽々しく口にしていいほど簡単な問題ではなく、責任を持て善悪を語れない段階だと思っています。
一つ言えるのは、「投稿先のプラットフォームの方針に従うべき」ということです。


そんな私ですが、もし自分のイラストが「AI制作ではないか」と疑惑をもたれたら、自分を否定されたような気持ちになるだろうと思います。
たくさんの愛情を持って、髪の毛一本にしても検討を重ねてデザインし、制作しています。率直に申し上げて、疑惑をもたれるのは嫌です。

でも、AIではないかと疑ってしまう人の気持ちもわかります。
前述した通り、AIではないと完全立証するのはほぼ不可能です。これは言い方を変えると、どんな絵でもAI疑惑を持とうと思えば持てるという意味でもあります。
AIに対して慎重でありたいという方であれば、安易にAI作品に触れてしまわないようにしたいと考えることでしょう。私だってそうです。
そのため、そういった方の気持ちに寄り添いつつ、自分の気持ちも大事にするため、この記事を公開しました。




ノベルゲームコレクションという、素晴らしい発表の場があることを嬉しく思います。
急いで書いたので、拙い文章ですみません。後日、校正・清書します。


2023/07/30 Miz Gracia