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ゲーム制作者として考えるAI生成素材について

AI生成素材の利用に関して、悩んでいる方の参考になれば幸いです。

この記事は一個人の感想程度の話ですし、私は法に関してまったくの素人です。そのため、私が何かに関して意見を述べていても、鵜呑みにせず、必ず自分で調べるようにしてください。

前提: 私の立場

先に、私の立場を明らかにします。

私は、本職としてWebアプリケーションエンジニアをしており、趣味としてイラストの制作やゲームの開発をしています。イラストを描き始めたのは2021年の8月、初めてゲームを公開したのは2023年7月。どちらに関しても新参であり、それぞれの文化に関してしっかりと知識や経験があるわけではありませんが、先人の方々が築き上げた文化を尊重しなければならないと考えています。

そして、【「画像生成AI」に関しては、賛成とも反対とも言い切れない立場です】。なぜなら、私はまだ「画像生成AI」を取り巻く問題に関して勉強中であり、責任を持って意見を発信できるほどの域に達していないからです。

はっきり言って、「画像生成AI」が全く問題のないものだとは思えません。現状の法律でNOを突きつけられないものも多いですが、法律とは神から授かったものではなく、人間が人間の知識で考えたものです。「画像生成AI」というかつての人間の知識や予想を超えたものが現れた今、法律に関して慎重に考えるべきでしょう。(そもそも、法的にOKなのかどうかも今は懐疑的です。)

また、先人の方々が築き上げた文化を「合法だから」の一言で土足で踏み荒らすようなことはしてほしくありません。正直、画像生成AIが普及しても”私”は困らないのですが、そうした「私は困らないからOK」というスタンスはいつか自分の首を絞めるものだと考えています。

しかし、『合法だからOK』という考えを否定する気もありません。法を信じて行動した者が、感情的に罰せられるということもあってはならないことです。

よって、私は「画像生成AI」を完全OKなものだと判断できませんが、かといって、「画像生成AI」を完全OKなものとして解釈している人を批判するつもりはございません。

また、特にXでよく見られる、自分とは異なる意見を持つ人物への誹謗中傷や、なりすまし、嫌がらせなどの行動は、画像生成AIに賛成か反対かに関わらず、恥ずべき行為だと考えています。今後、画像生成AIの活用が緩和されても規制されても、そこに『勝ち/負け』などありません。建設的な議論を望みます。

前提: ゲーム制作における『AI生成素材』とは

立ち絵や背景、メッセージウィンドウ、BGMなど、ゲーム制作において必要なもののうち、特に『制作者自身で制作していないもの』のことを『素材』と呼ぶことがあります。『素材』は有料のものや無料のものがあり、Web上で配布されているものを購入したり、イラストレーター様にお願いして描いていただいたりします。

そして、AIによって制作された素材のことを、ここでは『AI生成素材』と呼ぶことにします。

(ほとんど人の手で作られているが、ほんの少しだけAIが関わっているような素材のことも、ここでは『AI生成素材』と呼ぶことにします。あくまで、本記事での定義です。)

AI素材は安価であることが多く、時間の短縮にもつながるため、イラストや音楽を自作できない人の中には『AI素材』を利用するか悩んでいるかと思います。もちろん、私も『AI生成素材』の利用を検討したことがあります。


ゲーム制作において、素材の利用には『責任』が伴う

これは、何も『AI生成素材』に限った話ではありません。

ゲーム制作において、素材を購入やDLして使用する場合、ゲーム制作者にも素材に関しての利用責任が発生します。

例えば、ゲーム制作者であるあなたがWeb上で背景素材を購入したとしましょう。そして、あなたはその素材を利用してゲームを制作し、公開しました。

しかし、その背景素材はあるアニメの背景を無断転載したものだと判明しました。この時、あなたは【無断転載の事実を知らなかったとしても】ゲームの公開を一時停止し、背景を差し替える義務があります。販売だった場合は、返金に応じないといけないかもしれません。「私はそんなの知らなかったし被害者なのでゲームの公開はやめません」なんて言い訳は通用しません。あなたには背景素材の販売元に被害を訴える権利がありますが、同時に、ゲームをプレイしてくださった方に謝罪と対応を行う必要があります。

素材を利用する以上、例えその素材の制作者があなたじゃなかったとしても、素材に問題がないか確認する必要があります。

背景画像は何かのトレパクじゃないか。不適切な表現が含まれていないか。音源の中に何かのゲーム音が勝手に使われていないか。何か問題が発生したとき、ゲームの公開を一時停止するなどの措置を行えるか。

突き詰めるとキリがないですが、少なくとも、自分の言葉で「この素材には問題がないと判断しました」と説明できるくらいにまで、しっかりと調べるべきです。

『AI生成素材』は信頼できるか

前述した通り、ゲーム制作において、素材の利用には『責任』が伴います。

それを踏まえて考えたとき、現状の『AI生成素材』はこの信頼に足るものなのかという疑問が残ります。そして、私は【AI生成素材は信頼できるものではない】と判断し、この問題が解消されるまでは、AI生成素材を利用しないと決めています。

AI生成ツールの学習元がクリーンなものなのかどうか、諸説あり、私には判断ができません。他人がAI生成ツールを利用して生成したものなんて、なおさら、信頼できるものではないでしょう。

そもそも、ゲームって別に、AI生成素材を利用しないと制作できないものではないです。

無料でもハイクオリティのものが配布されており、安価で素材制作を承ってくださる方もいる。自分で作るという手もある。AI生成素材というリスクを選ばなくても、より信頼できる素材を利用するという選択肢があります。

なお、どれほどのリスクを許容し、どのように素材を利用するかは、人によって判断が異なるかと思います。【AI生成素材は信頼できるものではない】という私の判断に賛成できない方もいらっしゃるかと思いますが、その意思を否定する気は全くありません。

結論

私は、AI生成素材は信頼できるものではないと判断し、この問題が解消されるまでは、AI生成素材を利用しないと決めています。

最後に


この記事が、どこかの誰かの心の支えになれば幸いです。